さよなら大スーシーな人

iTunesスピッツのチェリーを購入した。いつかまたこの場所で、君とめぐり会いたい…良い、非常に良い。確かこの曲が出たのが高校2年生の時だった。

羊の高校2年の頃、ちょっと良いなと思う後輩がいた。(人生後にも先にも年下の男子に興味を示したのはこれだけ)向こうも羊を好意的に思ってくれているようだった。おしゃべりをしていると後輩は『俺、羊さんの事もっと知りたいです』と言った。それを聞いた友人は『あんたそれ絶対羊の事好きだよ』とはやし立てた。羊はその頃恋をしていて、もうダメだと諦めたいところもあって新しい恋も良いかもと思ったのだ。

夏休みの合宿で、皆寝静まった後に抜け出して後輩とおしゃべりをした。そろそろ日付が変わる、という時間になり戻ろうとすると後輩は言った。

『羊さん、今度電話ください』

今思えば彼なりのアプローチだったんだろうと思う。結局翌日からなんかギクシャクしてしまい、電話をかけることもかかってくることもなく気づけばただの先輩と後輩になってしまって、しばらくするとその後輩に彼女ができた。

その後文化祭で後輩のクラスはスピッツのチェリーを歌った。なんとなく、ああ、この曲は10年経っても忘れないだろうな、と思った。その後後輩のクラスがやっている出店に行って買い物をした。彼の友達は私の姿を見て、ほら、羊さん来たよ、と後輩を呼んだが後輩はどことなくよそよそしく、会話はうまくいかなかった。なんだか悲しかった。後輩はもう、私に好意を寄せていた事なんて無かった事にしたかったのかもしれない。彼と話したのはそれが最後だ。今は何をしているか知らない。

ほんとに今年であれから10年が経ってしまった。いちばん驚いたのは、今までこの後輩との事をすっかり忘れてしまっていたということだ。書きながら、ふと合宿の事を思い出したのだ。私は忘れる事なんて無いと思っていた。

あと10年経って、私はこの曲をどんな気持ちで聞くのだろう。37歳。