君がいた夏

夏が終わるね。世界陸上の熱い織田裕二とも今夜でお別れかと思うと、胸が締め付けられそう。実に切ない。今回は前回に比べシャツのボタンたくさん空けてて気合が感じられた。やっぱ日本での開催だもんね。さようなら裕二、また会いたい。今夜は裕二の雄姿をしっかり目に焼き付けようと思う。私の28歳の夏の大事な思い出だ。

夏休みといえば、セミの話を思い出す。小学2年の時だ。うちの地元は、夏休み中平日は同じ集落で朝はラジオ体操、午後は水泳に行くことになっていた。夏休みが始まって3日目くらいに、些細な事がきっかけで私はハブにされた。嫌になったのでよくサボるようになった。すると夏休みの終わりごろ、上級生に呼び出されて説教を受けた。

なぜか小学生とは謎の正義感に燃えるもので、ラジオ体操と水泳は毎日休まず通うのが美徳とされていた。要は私がサボるのが気に食わないらしい。しかし考えてもみて欲しい。たとえばこれがバイトをサボるのなら当然他の人に迷惑がかかり叱られるのは解る。しかし別にラジオ体操や水泳に行かなかったからといって他人にどういう不利益があるというのか?それは小学生にとって愚問なのである。だって毎日行くのが美徳だから。理由は知らない。

なんだやる気が無いのか、とか、一生懸命生きる気は無いのか、などと罵声を浴びせられる。ラジオ体操と水泳に毎日行くことが一生懸命生きる事だなんて大げさな、と子供心に思った。しかし、小学2年生にとって上級生という存在は絶対で、私はひたすら耐えるしかない。ようやく説教が終わるかと思った時、上級生は妙に得意げにこう言った。

セミはひと夏しか生きられないから一生懸命だ。それなのにお前は一生懸命生きる気がないのか」

なぜそこでセミが引き合いに出されたのか。セミだってやる気のない奴もいるだろう。ていうか私も今年死ねってことか。ていうかお前の目の前でミンミン鳴いてやろうか!!そこでもう笑いがこみ上げてきて仕方なかったが、上級生の手前うつむいて笑いをこらえるしかなかった。

そんなこんなで夏が終わった。20年前の夏の思い出だ。